2016年7月17日(日)、奈良女子大学ディープ・アクティブ・ラーニング教室にて課題分析のためのワークショップを開催しました。天候が悪かったにも関わらず奈良だけでなく遠く神戸、京都、大阪、滋賀から、幅広い年齢層の25名もの方にご参加頂きました。
10時から17時半までの長丁場でしたが、非常に好評で、皆さんの想いもこもったワークショップとなりました。
今回のワークショップは「分析手法を学ぶ」ことを狙いとしました。単に講義を聴くだけではなく、一つの課題を設定し、実際に分析しながらその手法を修得していくスタイルで進めました。設定した課題は
「奈良市内において飲食サービスの情報が行き届かない」
「なぜこの課題なのか?」については後ほどご紹介します。
それでは、当日の流れに沿って、レポートをお送りします。
司会者玉泉の「一緒に学びましょう」の掛け声とともに開会。
代表の石塚より、Code for Naraの紹介です。(発表資料はこちら)
続いて参加者同士での自己紹介です。人数が多いこともあって4つの班に分かれて頂きました。
各自でA4用紙に「あだ名、参加した理由、期待すること、今日くるまでにハッピーだったこと」を書いて、それをテーマに自分の紹介を行いました。参加者からは「自己紹介のテーマが決まっているので、話しやすい」と好評でした。
最初は座学です。地域の課題解決のプロジェクト演習について、神戸女子大学にて教鞭を執っていらっしゃる貝増先生から、
PCM(プロジェクトサイクルマネジメント)手法についてご指導頂きました。
PCM手法は、関係者が集まって計画を具体的に話し合うための手法で、JICAでも採用されているそうです。
「関係者分析」→「問題分析」→「目的分析」→「プロジェクト案の抽出」の順番で課題を分析するそうです。
ここからは実習です。
関係者分析
どんな関係者がいるか話し合って、ポストイットに書いては壁に貼っていきます。
その中で、今回のターゲットとなる立場の関係者を選出していきます。
問題分析
今度は問題になっていることを書き出した後、それらの問題の相関関係を考えながら 問題ツリーを作っていきます。このツリーがロジックツリーです。ここでは問題を抽出するので「否定的な」内容のみを扱っていきます。
目的分析
再びロジックツリーを作っていくのですが、今度は「肯定的な」内容のみで目的を分析していきます。
プロジェクト案の抽出
最後は実際に取り組むプロジェクトを決めていきます。
発表
班ごとにすべてのプロセスと抽出されたプロジェクト案について全員に説明します。
発表を聞くまなざしは真剣そのものです。
参加者の皆さまからは
・異なる意見をもつ複数の間で、意見をまとめあげるには良い手法だとおもう。
・頭をフル回転させたので思った以上に疲れましたが、とても充実した時間を過ごせました。
・ロジックツリーで上下左右のレベルを合わせることがむずかしく、繰り返し行うことも必要と感じました。
など、ありがたいご評価を頂きました。Code for Naraでは、今回のワークショップで得た成果を活かし、継続的に研鑽する機会を準備していきたいと考えています。
分析手法を詳しく知りたい方は、貝増氏より当日の説明資料をいただいているので、ダウンロードしてご利用ください。
→地域の課題分析ワークショップ ~問題分析ツールを使って~
またロジックツリーを始めて学ぶ方向けの書籍として、世界一やさしい問題解決の授業(渡辺健介) もあります。
▼分析課題の決定プロセス
「奈良市内において飲食サービスの情報が行き届かない」は、今までCode for Naraが関わってきたイベント(※注1)で集めた、のべ80名が出した問題や課題を「観光・生活・観光と生活・その他」と「食事・交通・場(環境)・その他」に分類し、数が多かった課題の中から、居住地に関係なく、話しやすい課題を選びました。
(問題や課題の一部)
注1)「奈良市市街地の明日を話し合う – 地域課題解決ダイアログ – フューチャー セッション in Nara City」と「奈良の課題をオープンデータに(IODD奈良2016)」中のアイデアワークショップ